スマートキッズベルトを調べると「危険」「事故」「死亡事故」といった言葉が出てきて、本当に子どもに使って大丈夫なのか不安になりますよね。
結論から言うと、スマートキッズベルトは日本で幼児用補助装置として使用できるため、正しく使用すれば違反にはなりません。
ただし、海外の衝突試験では安全性への懸念が指摘されているのも事実です。
この記事では、スマートキッズベルトが危険と言われる理由や事故の情報、安全性、法律上の扱いまで調査しました。
「結局、子どもに使って大丈夫なの?」という疑問を一つずつ確認していきます。
スマートキッズベルトが危険と言われる3つの理由
スマートキッズベルトが危険と言われる主な理由は、次の3つです。
・海外の衝突試験で安全性への懸念が指摘された
・衝突時に腰ベルトが腹部へ移動する可能性が指摘された
・一般的なハイバックタイプのジュニアシートのような側面保護がない
日本では幼児用補助装置として使用できる製品ですが、「法律上使用できること」と「一般的なジュニアシートと保護性能が同じであること」は分けて考える必要があります。
海外の衝突試験で安全性への懸念が指摘されている
スマートキッズベルトの安全性については、海外で複数の衝突試験や議論が行われています。
2020年の国連欧州経済委員会(UNECE)の自動車基準調和世界フォーラム・衝突安全分科会(GRSP)では、オランダからスマートキッズベルトの追加衝突試験の結果を報告した資料「Braxx Smart Kid Belt」が提出されました。
この追加試験ではP6・P10ダミーを使用し、P10ダミーを使った試験で、衝突時に腰ベルトが骨盤を越えて腹部側へ移動する挙動が確認されています。
また、GRSPではADACやConsumers Internationalなどが行った試験についても取り上げられ、腹部傷害につながる可能性が指摘されています。
イギリスの消費者団体Which?も独自の衝突試験を実施し、肩ベルトの位置や、腰ベルトが上方へ移動して腹部に圧力がかかる可能性を指摘しています。
(参照元:Which?「Don’t buy this potentially dangerous child car seat accessory」)
ただし、これらは特定の条件で行われた衝突試験の結果です。メーカー側はSmart Kid Beltについて、安全性や有効性を確認する試験を受けているとしており、海外での指摘とは異なる見解を示しています。メーカー側の見解については後ほど詳しく解説します。
腰ベルトがお腹にかかるリスクが指摘されている
スマートキッズベルトは、車の3点式シートベルトを子どもの体格に合わせた位置へ調整する製品です。
海外の衝突試験で特に問題視されたのが、衝突時の腰ベルトの位置です。
UNECEに提出されたオランダの資料では、追加試験で腰ベルトが骨盤を越えて腹部側へ移動する挙動が確認され、腹部傷害につながる可能性が指摘されています。
参照元:UNECE「Braxx Smart Kid Belt」
国土交通省も子どものシートベルトについて、ベルトが首や腹部にかからないようにし、腰をしっかり固定することが重要だと案内しています。(参照元:国土交通省 近畿運輸局「体格に合わせたシートベルト・チャイルドシートの使用について」)
そのためスマートキッズベルトを使用する場合も、「装着できたからOK」ではなく、腰ベルトが腹部ではなく骨盤付近を通っているかを確認することが重要です。
一般的なジュニアシートのような側面保護がない
スマートキッズベルトは、車両のシートベルトの位置を調整する器具です。
ハイバックタイプのジュニアシートにあるような、背もたれや頭部周辺のサイドウイングはありません。
そのため、頭や肩を支えたり、側面衝突時に頭部周辺を保護したりするハイバックタイプのジュニアシートとは構造が異なります。
イギリスの消費者団体Which?も、スマートキッズベルトにはハイバックブースターのような頭部や首周辺の側面保護がないことを指摘しています。
(参照元:Which?「Don’t buy this potentially dangerous child car seat accessory」)

スマートキッズベルトとジュニアシートは、同じように子どもを車に乗せるために使われますが、構造や保護できる範囲まで同じではありません。
スマートキッズベルトで事故・死亡事故があったって本当?
「スマートキッズベルト」と検索すると、「事故」「死亡事故」「内臓破裂」といった気になる言葉が出てくることがあります。
子どもに使うものなので、ここは購入前に確認しておきたいところです。
スマートキッズベルト使用中の死亡事故は確認できる?
今回、警察庁やUNECEなどの公的資料を中心に調査しましたが、「スマートキッズベルトを使用していたことが原因で子どもが死亡した」と確認できる具体的な死亡事故情報は見つけられませんでした。
ただし、死亡事故が確認できないからといって「安全性に問題がない」と判断できるわけではありません。
実際の事故情報と、衝突試験によって指摘された傷害リスクは分けて考える必要があります。
現時点で公的資料から確認できるのは、主に海外で行われた衝突試験や、認証・安全基準をめぐる議論です。
「内臓破裂」という情報はどこから出た?
「スマートキッズベルトで内臓破裂する」といった情報を見て、不安になった方もいるかもしれません。
今回、警察庁や国土交通省、UNECEなどの公的資料を確認した範囲では、スマートキッズベルトを使用していた子どもが「内臓破裂によって死亡した」と確認できる具体的な事故情報は見つかりませんでした。
ただし、これは「事故が一件も起きていない」「内臓損傷の危険がない」という意味ではありません。すべての交通事故が製品名や詳しい負傷原因とともに公表されるわけではないためです。
ここまでお伝えしたように、海外の衝突試験では、腰ベルトが腹部側へ移動し、腹部傷害につながる可能性が指摘されています。
つまり、現時点で確認できるのは「スマートキッズベルトで内臓破裂による死亡事故が起きた」という事実ではなく、「衝突試験で腹部傷害につながる可能性が指摘されている」という安全上の懸念です。
「内臓破裂」という強い言葉だけで判断せず、実際に確認されている事故情報と、衝突試験で指摘されたリスクを分けて考える必要があります。
スマートキッズベルトは違反?警察に捕まる?
スマートキッズベルトを正しい条件で使用すること自体が、道路交通法違反になるわけではありません。
ただし、子どもの体格や使用条件を守る必要があります。
正しく使用すればチャイルドシートの代わりとして使用できる
道路交通法では、運転者は原則として、チャイルドシートなどの幼児用補助装置を使用せずに6歳未満の幼児を車に乗せて運転してはいけないと定められています。
警察庁も、6歳未満の幼児を車に乗せる場合にはチャイルドシートを使用するよう案内しています。
(参照元:警視庁「子供を守るチャイルドシート」)
スマートキッズベルトの国内総代理店であるメテオAPACでは、日本向け正規品について、道路交通法第71条の3第3項に適合する幼児用補助装置として案内しています。
使用する場合は、少なくとも次の条件を確認しておきましょう。
・日本向けの正規品である
・対象となる体重などの使用条件を満たしている
・3点式シートベルトの座席で使用する
・取扱説明書どおりに装着する
・腰ベルトと肩ベルトが適切な位置を通っている
特に子どもの体格に合っているかは重要です。
「警察庁認定」という意味ではない
スマートキッズベルトについて「警察庁認定」と紹介されていることがありますが、この表現には注意が必要です。
メテオAPAC公式サイトでは、国内適合確認機関として警察庁交通局交通企画課などが記載され、道路交通法上の幼児用補助装置に該当することを示す回答書も掲載されています。
しかし、これは警察庁がスマートキッズベルトの衝突安全性能を試験し、ほかのチャイルドシートより安全だと「認定・推奨」したという意味ではありません。
確認されているのは、日本の道路交通法上「幼児用補助装置」として扱われるかどうかという点です。
そのため、「道路交通法上、幼児用補助装置として使用できる」ことと、「衝突時にどの程度子どもを保護できるか」は分けて考える必要があります。
高速道路でも扱いは同じ
高速道路だからスマートキッズベルトだけが特別に違法になる、というルールはありません。
6歳未満の幼児に幼児用補助装置を使用する義務は、高速道路でも基本的に同じです。
ただし、高速道路では走行速度が高くなるため、子どもの体格に合った製品を選び、正しく装着することがより重要になります。
長距離移動で子どもが眠ることが多い場合などは、姿勢を保持しやすいハイバックタイプのジュニアシートも含めて検討するとよいでしょう。
安全基準をクリアしているのになぜ危険と言われる?
「危険性が指摘されているなら、なぜ日本で普通に販売されているの?」
ここが一番分かりにくいところです。
スマートキッズベルトには安全基準への適合表示がある一方、海外ではその認証や実際の衝突時の挙動について議論が行われています。
スマートキッズベルトはUN(ECE)R44/04適合
メテオAPAC公式サイトでは、日本向けスマートキッズベルトについて「UN(ECE)R44/04適合」と案内されています。
一方、現在はR44/04より新しい安全基準「UN R129」が導入されています。R129では、従来のR44にはなかった側面衝突試験などが追加され、より厳しい安全基準が設けられています。
スマートキッズベルトはR129適合製品ではなく、従来のR44/04で認可を受けた製品です。
そのため、安全性をより重視して選ぶ場合は、「基準を満たしているか」だけでなく、R129への適合や側面衝突時の保護構造なども含めて比較するとよいでしょう。
海外では認証をめぐる議論もあった
スマートキッズベルトについては、安全性だけでなくR44/04の認証をめぐってもUNECEのGRSPで議論が行われています。
2020年の会合では、オランダから「Invalid Approval E20 44R 044013 Smart Kid Belt」と題する資料が提出され、スマートキッズベルトの認証について問題提起されました。
一方、同じ会合では、認証を発行したポーランド側からも動的試験の結果などについて説明する資料が提出されています。
つまり、スマートキッズベルトはR44/04の認証を受けた製品ですが、その認証や試験方法についてUNECEの場で問題提起され、議論が行われた経緯があります。
メーカー側も安全性に関する指摘へ見解を出している
スマートキッズベルト側も、安全性や認証をめぐる指摘に対して公式見解を公表しています。
国内総代理店のメテオAPACは「スマートキッズベルトに関する誤った報道について」の中で、スマートキッズベルトはUN(ECE)R44/04に基づき「年少者用補助乗車装置」として単体で認可を受けた製品だと説明しています。
また、衝突試験等で安全基準値をクリアして認可を取得しており、規格に沿った定期的な衝突試験等でも安全基準値をクリアしているとして、「幼児用補助装置として安全性が担保されている」との立場を示しています。
参照元:メテオAPAC「スマートキッズベルトに関する誤った報道について」
一方で、前述したように海外の追加衝突試験では、腰ベルトが腹部側へ移動する挙動など、安全上の懸念も指摘されています。
そのため、メーカー側は安全基準を満たした製品であると説明している一方、海外では認証後の追加試験による問題提起も行われている、という両方の情報を確認したうえで判断することが大切です。
スマートキッズベルトを使うときに注意したいこと
スマートキッズベルトを使用するなら、対象条件を守るだけでなく、ベルトの位置まで毎回確認することが重要です。
対象となる体重・年齢を守る
スマートキッズベルトは、誰でも使える製品ではありません。
特に体格が小さい子どもでは、シートベルトを適切な位置へ調整できない可能性があります。
年齢だけで「もう使える」と判断せず、購入した製品の取扱説明書に記載された対象体重などの条件を必ず確認してください。
また、条件を満たしていても、肩ベルトが首にかかったり腰ベルトがお腹にかかったりする場合は、そのまま使用しないようにしましょう。
腰ベルトと肩ベルトの位置を確認する
装着したら、特に確認したいのがベルトの位置です。
・腰ベルトがお腹ではなく骨盤付近を通っている
・肩ベルトが首ではなく肩を通っている
・ベルトがねじれていない
・子どもが深く腰掛けている
・クリップが確実に固定されている
警察庁も、大人用シートベルトが子どもの首や腹部にかからないよう注意を呼びかけています。
「クリップを付けたから大丈夫」ではなく、子どもを乗せるたびにベルトの位置を確認しましょう。
ブースターシートと自己判断で併用しない
スマートキッズベルトは、車両のシートベルトの位置を調整して使用する製品です。
ブースターシートなど別の補助装置を追加すると、ベルトの高さや角度が変わり、本来想定された装着状態ではなくなる可能性があります。
「座面を高くしたほうが安全そう」と自己判断で組み合わせず、必ず取扱説明書で認められた方法で使用してください。
正規品を使用する

スマートキッズベルトを購入するときは、日本向け正規品かどうかも確認しましょう。
メテオAPACは、日本国内向けの商品について、国内の基準に対応したタグ表示になっていると案内しています。
見た目がよく似たベルト調整用品でも、同じ認証や仕様とは限りません。
価格だけで選ばず、販売元や製品タグ、認可表示などを確認して購入することが大切です。
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スマートキッズベルトとジュニアシートはどっちがいい?
安全性や子どもの姿勢の安定を優先するなら、体格に合ったハイバックタイプのジュニアシートを第一候補にするとよいでしょう。
一方、スマートキッズベルトには約120gと非常に軽く、持ち運びやすいという大きなメリットがあります。
違いを簡単にまとめると次のとおりです。
| 比較項目 | スマートキッズベルト | ハイバックタイプのジュニアシート |
|---|---|---|
| 携帯性 | 非常に高い | 持ち運びにくい |
| 省スペース | 高い | 本体のスペースが必要 |
| 姿勢保持 | 子どもの姿勢の影響を受けやすい | 背もたれなどで安定させやすい |
| ベルト位置 | 正確な調整が重要 | ベルトガイドで位置を調整しやすい |
| 側面保護 | サイドウイングなし | 製品によって側面保護あり |
| 向いている場面 | 持ち運び・省スペースを重視する場面 | 日常的な車移動 |
普段から自家用車で使うのであれば、子どもの姿勢を保持しやすいジュニアシートのほうが使いやすいでしょう。
一方で、レンタカーなどで持ち運びやすさを重視したい場合や、車内スペースの都合で一般的なジュニアシートを設置しにくい場合には、スマートキッズベルトのコンパクトさがメリットになります。
どちらがいいかは「使えるか」だけではなく、子どもの体格と使用する場面まで考えて選ぶことが大切です。
まとめ|違反ではないが安全性の違いを理解して選ぼう
スマートキッズベルトは、日本向け正規品を使用条件に従って正しく装着すれば、道路交通法上の幼児用補助装置として使用できます。
一方で、海外の追加衝突試験では、腰ベルトが腹部側へ移動する挙動や、ハイバックタイプのジュニアシートのような側面保護がないことなど、安全性への懸念も指摘されています。
また、「死亡事故」「内臓破裂」といった情報については、実際に確認された事故と、衝突試験で示された傷害リスクを混同しないことが重要です。
普段使いで安全性や姿勢の安定を重視するなら、体格に合ったジュニアシートを優先して検討するとよいでしょう。
スマートキッズベルトを選ぶ場合は、正規品であること、対象条件を満たしていること、3点式シートベルトを使用することに加え、肩ベルトと腰ベルトが正しい位置にあるかを毎回確認して使用してください。

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